「知的複眼思考法」(苅谷剛彦 著)を読んだ
読了時間: 14時間(たくさんメモをとって考えながら読んだので)
書籍情報
目次
序章 知的複眼思考法とは何か
- 知的複眼思考への招待
- 「自分の頭で考える」ということ
- 複眼思考を身につけよ
- 「常識」にしばられたものの見かた
- 授業の中のトリック
- 単眼思考と複眼思考
- 知ることと考えること
- 「正解」という幻想
- アメリカの大学での苦悩
- 複眼思考への道
第1章 創造的読書で思考力を鍛える
- 著者の立場、読者の立場
- ステップ1 読書の効用
- ステップ2 著者と対等な立場に立つ
- 知識の受容から知識の創造へ
- ステップ1 批判的に読む
- ステップ2 鵜呑みにしない態度を身につける
- ステップ3 批判的読書の実践法
- ステップ4 批判的読書にチャレンジ
第2章 考えるための作文技法
- 論理的に文章を書く
- ステップ1 批判的読書から批判的議論へ
- ステップ2 書くことと考えること
- ステップ3 接続のことばの役割を知る
- 批判的に書く
- ステップ1 反論を書く
- ステップ2 違う前提に立って批判する
第3章 問いの立てかたと展開のしかた-考える筋道としての〈問い〉
- 問いを立てる
- ステップ1 「疑問」から〈問い〉へ
- ステップ2 「どうなっているの?」—〈実態を問う〉問い
- ステップ3 「なぜ」という問いかけ
- 「なぜ」という問いからの展開
- ステップ1 因果関係を問う
- ステップ2 疑似相関を見破る
- ステップ3 問いの展開例
- 概念レベルで考える
- ステップ1 概念の働き
- ステップ2 概念とはサーチライトである
- ステップ3 概念・定義・ケース
- ステップ4 問いを一般化・抽象化する
第4章 複眼思考を身につける
- 関係論的なものの見かた
- ステップ1 ものごとの二面性(多面性)に注目する
- ステップ2 関係の中でものをとらえる
- ステップ3 偏差値教育批判を関係論的に見直す
- ステップ4 「ひとり歩き」をやめて考える
- ステップ5 関係論的見方を導く手がかり
- 逆説の発見
- ステップ1 「行為の意図せざる結果」へのまなざし
- ステップ2 当初のねらいと実際との比較
- 〈問題を問うこと〉を問う
- ステップ1 問題のはやり・すたり
- ステップ2 作られる問題・隠される問題
- ステップ3 問題とその文脈
- ステップ4 メタを問う問いのかたち
コラム
- バルトの「神話作用」
- 歴史と比較の効用—「夫婦別姓」問題、常識のうそ
- 著者とかかわりながら読書するコツ
- 数字にだまされるな
- 考える読書 四つのヒント
- インディペンデント・スタディの思い出
- アメリカの大学でのすぐれたレポート
- 六つのなぜ?
- 〈複眼思考のためのヒント〉禁止語のすすめ
- 「何のケースか」を考える—抽象的思考のすすめ
- 逸脱者は作られる—ラベリング論
はじめに,動機などのポエム
こんにちは,最近Twitterを引退気味のしゅういちです. Twitterをしない時間を作って読書をしていました.
というのも,こちらの記事の内容に感銘を受け,時間の使い方をもう一度考え直そうと思ったからでした.
またその一環として,効率的に学ぶためには?考えるためには?ということに興味を持ち,先日参加したイベントで紹介されていたこの冊子に興味を抱き,読むことにしました.
また,アジャイル書評(執筆だった)がいいと言う声や,日々のアウトプットの成果を可視化しやすくするためにScrapboxで読書メモをとっていたので,この度書評(感想文)を書こうとなりました.
これマジで最高なのでみんなやろう
— コミさん (@komi_edtr_1230) February 9, 2019
アジャイル執筆素晴らしいです https://t.co/HTV3EkErgO
書評
端的に言うと,
「常識」というステレオタイプにとらわれないで,様々な視点から物事を考える方法
についての本でした.
具体的には,
- 序章では,「常識」によって思考が狭められている例を示すことで読者にインパクトを与え,
- 第1章では,著者の文を鵜呑みにせず,どうしてその文なのか,著者の目的や前提を考えながら読む「批判的」な読み方を,
- 第2章では,いろいろな視点から書くことで,多角的に文章を表現する「批判的」な書き方を,
- 第3章では,考えるのは疑問があるからだということで,疑問をさらに展開させて複数の視点から考える方法や,その問いを抽象化することで本質以外を捨象してより思考を展開していく方法を,
- 第4章では,タイトルの複眼思考を身につけるために,どのようにしたら複数の視点から考えることができるのか,
その具体的な方法を述べていました.
よかったところとして,自分の思考の基準というか考えの切り口のバリエーションを増やせたところだと思います. ある1つの問題があったとして,それを解決することで満足するのではなく,どうしてその問題が生まれたのか,その問題が生まれることで嬉しい人は?それはどうして?とどんどん思考を展開して膨らませることができます. これまでの私だと,どうしてそんな問題が,の時点で止まっていたのですが,そこからさらに先の視点に気付かされた時点でこの本を読む価値があったのではないかと思います. また,具体例や言い換えが豊富にあるので,じっくり考えれば読み込みやすいと思いました.
悪いというか著者が社会科学者でかつ専門だから仕方ないかもしれませんが,偏差値や受験といったテーマが非常に多く感じました. 他のテーマに関しての切り口を見てみたかったという気持ちがあったりします.
また,「著者と関わりながら読書をするコツ」というコーナーがあるのですが,そこで紹介されているフレーズをそれっぽく変換すると競プロerが感想ツイやリプ,記事を書くときに使う語録と一致していて,はぇ〜というお気持ちになりました.
また,この本を別の言葉で例えると,
(思考が)立ち止まるんじゃねぇぞ...!!!
かなと思います.
ステレオタイプで立ち止まり,そこから何も考えなくなることを悪として,どうすればそこから脱却できるかについて徹底的に書かれた本とも言えます.
オススメしたい人
たくさん本を読まないと頭がよくならない,と焦っている人,疑問に感じることをどう次に広げていけばいいか,また自分の考えをここからどうしたら発展させることができるのかその方法がわからず焦っている人にオススメです.
複眼思考の具体的方法については長すぎるため省略しましたが,目次を見て知りたいと思ったら読むことをオススメします. 注意として,本の中でもありましたが,文章に疑問を持たずにただ鵜呑みにしないよう注意しながら読み進めることをオススメします.
おわり